2021/07/27[ その他 ]
水谷 隼 選手 伊藤 美誠 選手の恩師 今福総監督にインタビュー!
東京2020オリンピック卓球混合ダブルスで優勝し、金メダルを獲得した水谷 隼 選手と伊藤 美誠 選手。
本校には、そんな二人の幼少期に卓球を教え、支えてきた監督がいます。
ダブルス優勝を機に、二人のことを聞きに本校卓球場 夢みらい館へ!
練習の合間に、今福総監督に突撃インタビューを行ってきました!
Q1. 水谷選手にはどのくらい教えていましたか?
水谷は、小学2年の9月末から中学2年の10月まで教えていました。その時から「天才」と呼ばれるほど、卓球が上手かったです。その後、日本卓球協会からドイツの優秀なコーチのところへ卓球留学を推進されてドイツへ行くことになりました。ドイツ行きは彼の両親も心配していましたが、彼の卓球の未来を考えると行くべきだったし、実際、行くことで才能が伸びたので良かったと思います。
Q2. 教えていた頃の様子を教えてください。
ヤマハの練習場で幼い頃から見ていましたが、水谷の卓球の印象は、本当にすごい子だなと、打球に対してのタッチの感覚が優れていて才能があふれてる子だなと思って見ていました。性格面は、そんなに活発ではなかった覚えがあります。しかし与えたものはしっかりこなす選手でした。そんなにやらなくても何でもできちゃう天才肌でしたね。周りと自分の能力の差に甘えてしまわないように、自分の限界まで挑戦できるメニューを与えていました。小学生の頃は、バンビ・カブ・ホープスの各部で全国大会へ行き、全て優勝しました。本当に卓球の才能あふれる子でしたよ。
Q3. 伊藤選手はどうですか?
伊藤は、小学校3年生くらいから全国の上位に入るようになり、ヤマハに練習に来るようになって教えるようになりました。当時から気の強い性格で、相手が大人だろうが思いっきりプレーをするような選手でした。大人の強いショットに苦戦しながらもしっかり打ち返していくんです。そんなどんな人が相手でも気後れせず自分のプレーをする子でしたね。現在のプレーにもその負けん気の強さが活きているように思います。中学は大阪に行き、卓球の腕に更に磨きをかけていきました。その当時からすでにスポンサーが付いていて、ナショナルチームの女子の監督であった村上選手の元で日々努力して頑張っていました。
水谷は一球一球を丁寧に返していくのに対し、伊藤はどんな球にもくらい付いて力強く返していく、この二人の相性はかなり良いと思います。
Q4. オリンピックの二人のダブルスの試合を見てどうでしたか?
最初の印象ですが、第1ゲームと第2ゲームを取られたときはやはり中国は強いなと感じました。3ゲーム目はなんとか取ってほしいという気持ちで見ていました。そうしたら良い形で勝つことができ、4ゲーム目も取ることができて、二人のリズムに乗れたことで第5ゲームも良い感じで勝ちにいけたのだと思います。自宅で見ていましたが、「やったぁ」と声を出して飛び上がるほど嬉しかったですね。
水谷は伊藤の良いところを出そうと、あまり制限をせずに伊藤がやりやすいように自分のプレーを変化させていました。伊藤の持ち味を活かすことができるよう準備球を出してあげたりして、主導権を伊藤が持ちながら勝つためのプレーを二人でしていたように思います。相性のいい二人の良いところが出た試合だと思いました。
Q5. 水谷選手は「天才」と称されて呼ばれることがありますが、伊藤選手はどんな風に呼ばれていましたか?
伊藤は中国からは「大魔王」と呼ばれていますね。15歳でリオオリンピックに出場し、そのときから世界的に有名な選手になりました。中国選手にも本当によく勝つ選手だったんです。その頃から中国選手からは大魔王と呼ばれるようになりました。中国からしたらそのぐらい怖い選手であるという意味が込められてそう呼ばれているのだと思います。
Q6. 教え子である二人がオリンピックに出た時の心情はどうでしたか?
二人揃ってオリンピックに出たのが、リオオリンピックでした。水谷は日本人として初めての個人戦でのメダルで、男女揃ってのメダリストというのも初だったので、非常に嬉しかったのを覚えています。うちの卓球部員への刺激にもなっていますし、私自身も二人が頑張ることによって取材を受けることも増えて、今所属している修学舎にも少しは恩返しができているとも思うので、それも嬉しいことの1つですね。
Q7. オリンピックダブルスを終えて、二人に伝えたいメッセージは?
二人には「よくやったなぁ」という気持ちが強いですね。本来は優勝して「お疲れ様」と言うのが当然かと思うのですが、まだまだ団体戦やシングルの試合もあるので、お疲れ様とはまだちょっと言えないですね。試合が終わってLINEもしましたが、「やったね。よく頑張ったね。おめでとう」とだけ送りました。そうしたら「ありがとうございます。落ち着いたら金メダル持って伺いますね!」と嬉しい返信をもらいました。もう感無量です。この二人がダブルスを組むこと自体も全く想像できなかったですから。年齢も離れている二人ですし、男子と女子のペアでもあります。ミックスダブルスも今回初めて組めるようになったので本当に奇跡のようなタイミングでこの二人が選ばれたと思います。
伊藤は日本のナンバー1選手ですし、全種目出てもおかしくない選手ですね。そして、水谷はペア物が本当に上手いんですよ。この二人が組めば金メダルも夢じゃないということでこの二人が抜擢されたのでしょう。
Q8. 二人の試合は修学舎の卓球部にも刺激になっていますか?
間違いなく刺激になっていますね。寮でも応援しながら見ていますし、ドイツ戦はちょうど昼間だったので、練習を休めてみんなで見ました。9−2で負けていた試合で、もうだめだなという雰囲気の試合でしたが、それをひっくり返すなんてそんな挽回試合を見ることはまずありません。ましてやオリンピックで現実にそれが起きたということは、うちの生徒にとっては、諦めないで頑張ればひっくり返すこともできるんだということの勉強になったんじゃないかなと思います。
Q9. 二人のプレーを「漢字」で表すとしたら?
いろいろ思い浮かびますが、まず思い浮かぶのは「絆」や「想」ですね。二人とも金メダルを取ることが目標であり、その思いでやってきたこともあると思いますので。技術的なところももちろんですが、どちらかというと「想い」の部分が強く出て優勝に繋がったのだと思います。そして二人の「想い」が叶ったということで。
今福総監督から水谷選手と伊藤選手、両選手の話を聞いていると何だか聞いているこちらまで刺激をもらえる思いがしました。
二人のプレーは、本校生徒はもちろん、世界中の中学生・高校生に良い刺激を与えてくれています。
今後ともシングルスや団体戦でのますますのご活躍を期待し、応援しております!